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東日本大震災の被災者と5年半交流を続ける人たち

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蔵王の山里の心遣い被災者癒やす 交流5年半

宮城県蔵王町の山里に、東日本大震災の被災者と交流を続ける人たちがいる。「山の恵みで浜の人を元気づけたい」。住民有志が初めて花見に招いてから5年半。四季折々の豊かな自然と温かな心遣いが、震災の傷を優しく包む。
 蔵王町曲竹地区。黒い畝の合間に出荷されなかった里芋が寄せられている。
 畑の持ち主の我妻正行さん(77)が「好きなだけ持っていって」と呼び掛けた。宮城県名取市、同県山元町などで被災した十数人が拾い集める。
 「自然や人との触れ合いに力をもらえる。温かく迎えてくれてありがたい」。山元町の小島絹子さん(82)は感謝した。
 我妻さんは曲竹地区の住民約20人でつくる「笑顔の会」の会長だ。2011年3月11日、発会式のさなか、揺れに襲われた。
 未曽有の大災害に見舞われた宮城県石巻市や福島県南相馬市など県内外から、被災した人たちが町の遠刈田温泉に避難してきた。
 「目の前に困っている人たちがいる。力になれないか」。地域活性化から被災者支援へ、笑顔の会の趣旨は切り替わった。
 11年5月初旬、町への避難者を地元の観光花木園に招待した。皆暗く沈んだ表情。満開の桃の花を見て涙を流す人がいた。「地獄から天国だ」と声が漏れた。
 「よっぽどつらい思いをしたのだろう。ひとときでも、蔵王で明るい気持ちになってもらえたら」
 我妻さんは、知人で被災者の支援活動をしていた宮城県柴田町の山木秀子さん(74)と連携。蔵王の特産を生かしたレクリエーションを企画し、山元などから被災した人を受け入れた。
 梨狩り、大根掘り、梅の実拾い、つぼみ菜摘み。多くの農家が協力した。
 「浜はさぞ大変だろう。人ごとではない」。シベリア抑留を経験したお年寄りは境遇に思いを寄せ、無償で作物を提供した。
 その後、自宅を再建した後も梨を買いに来るなど、個人的な付き合いが深まりつつある。「応援と言えるか分からないけど、できる範囲で続けていきたい」と我妻さん。気張らず、息長く寄り添う。